日本語学校を設置するに際して、大前提とでして、校地及び校舎は以下の要件を満たしていなければなりません。

① 同じ建物又は近接する建物内に風俗営業又は性風俗関連特殊営業を営む施設がないことその他校舎の位置及び環境が教育上及び保健衛生上適切なものでなければなりません。
※例えば、風俗営業又は性風俗関連特殊営業を営む施設 が日本語学校の立地場所から、車道等を挟んで一定程度距離が離れているような場合は該当しません。
※近接する建物にさえ風俗営業等を営む施設が存在しなければそれだけでいいということではなく、近隣の環境に問題があり、「教育上及び保健衛生上適切」でないと認められる場合には、この基準を満たさず、設置することが出来ません(日本語学校の所在する区域が都道府県の条例等において学校等と風俗営業等の営業所との間に一定距離を設ける必要がないとされている場合には,同じ建物内又は近接する建物内に風俗営業等を営む施設が存在していても,設置できる可能性がありますので、各都道府県に確認することが必要です。)
② 教育の目的を実現するために必要な校地及び校舎を備えていなければなりません
③ 校地及び校舎は、原則として賃貸ではなく設置者の自己所有でなければなりません。
自己所有ということは、株式会社で設立する場合は会社名義である必要があります。
例外が認められる場合は、以下の通りです。
① 校地(設置者の所有に属する部分を除く。)が国又は地方公共団体の所有であって法令により譲渡が禁止されている場合、その他譲渡できない特別な事情が認められる場合で、設置者(当該校地の上の建物を校舎として使用する場合であって、校舎の所有者が校地の所有者と異なるときは、校舎の所有者)が留学生受入れ事業の開始以降20年以上にわたり使用できる保証のある賃借権又は地上権をもっていて、かつ、当該校地を使用して日本語学校を運営することに支障がないことが確実であると認められる場合
② 校地の面積及び校舎の床面積の半分以上が設置者の所有であって、かつ、その他の部分の校地及び校舎について設置者(当該校地の上の建物を校舎として使用する場合であって、校舎の所有者が校地の所有者と異なるときは,校舎の所有者)が留学生受入れ事業の開始以降20年以上にわたり使用できる保証のある賃借権又は地上権をもっていて、かつ、当該校地を使用して日本語学校を運営することに支障がないことが確実であると認められる場合
※建物の2フロアを使用して日本語学校を開設する場合
日本語学校の設立が区分所有では認められないとは規定されていないので、ビルの一部のフロアを所有する区分所有の形で開校することも可能です。
この場合、このフロアが自己所有となると区分所有権(土地の持ち分所有と部屋の分譲所有)となります。建物の補修・改修には、共有者で構成する管理組合の協議調整(承認)が必要となります。
※建物全体が自己(自社)所有で、その一部フロアを日本語学校として使用する場合
通常の自己所有の場合と同様に扱われます。
③ 専修学校又は各種学校である日本語学校で、専修学校又は各種学校の認可基準を全て満たしている場合。
④ 設置者の運営により20年以上継続して留学生受入れ事業を行っている日本語学校で、今後も校舎の確保に支障がないと認められる場合。
※賃借権の期間である「20年」については,開設済みの日本語学校にあっては,必ずしも新しい基準の適用開始時において地上権又は賃借権の残期間が20年以上あることを必要としません。これまでの賃借実績や契約の更新見通し等を踏まえて「運営することに支障がないことが確実」と認められれば足りるものとされています。
※①及び②における賃借権等を有していることの確認は,設置者が所有者から賃借する場合であって,所有者が国又は地方公共団体の場合は原則として公正証書により行うものとし,所有者が国又は地方公共団体以外の場合には登記事項証明書により行うものとします。また,賃借する校舎の底地となる土地の所有者が,校舎の所有者と異なる場合における校舎の所有者が賃借権等を有していることの確認は,賃貸借契約書により行うものとします。
※②については,一棟の建物のうち,校舎として使用する「専有部分」につき区分所有する場合の取扱いは次のとおりとします。
・校舎として使用する「専有部分」について,床面積の半分以上が設置者の所有に属しているものとします。
・当該「専有部分」に対応する「敷地権」について,その面積の半分以上が設置者の所有に属しているものとします。
(例:建物の2フロアーを使用して日本語学校を開設する場合,1フロアー分は設置者の所有であることが必要であり,「敷地権」についても1フロアー分が設置者の所有に属していることが必要です。)
※③については,専修学校・各種学校が日本語学校を新規に開設する場合には,都道府県知事等の認可を受けている学校であることに鑑みて,両者に特化した例外事由を置いているが,これに限定されるものではなく,①から④までのいずれかに該当していれば,自己所有要件の例外として認められます。
※④については,既に留学告示に掲載されている日本語学校において,同じ設置者の下で,20年以上継続して留学生の受入れを行っている場合には,自己所有は求められません。